谷脇 裕子 弁護士のブログエントリー一覧

谷脇 裕子弁護士 弁護士 谷脇 裕子

2018年08月16日(木)

ウラ「私の好きな法律モノ○○」

いつもは「あすか通信」に掲載している「私の好きな法律モノ○○」ですが、今回はウラ版(ブログ版)として書きたいと思います。

ご紹介したい作品は、「私の中のあなた」というキャメロン・ディアス主演の2009年に公開された映画です。

この映画は、主人公の仕事を離れていた女性弁護士(キャメロン・ディアス)が、裁判所で知り合いの女性判事に「仕事に戻ったの?」と声を掛けられ、「娘に訴えられまして・・・」とバツが悪そうに答えるところから、波乱含みで始まっていきます。
この映画が私の胸に深く残ったのは、この映画がていねいにていねいに描き出そうとしたもの・・・、それは「愛」のやっかいさ、割り切れなさ、どうしていいか分からない温かさであり、それをとても大切に表現しているからです。
映画のラストは、かなり厳しい結末となるのですが、なぜか、観終わった後、さわやかな風が胸を吹き抜けていきます。
それは、人は誰しも、どうしても何処へ持って行くこともできない痛みを抱えて生きていかなければならないけれど、でも一人じゃない。その痛みは、人と人とを繋いでもいるんだ!その痛みを人と人とは共有することもできるんだ!その痛みが人を突き動かすんだ!!一人ぼっちじゃないんだ!!! と、この映画が伝えてくているからではないでしょうか?

この映画は、ひょっとしたら「法律モノ」とは呼べないかもしれませんが、だからこそ、「ウラ」バージョンとしてここにご紹介させていいただきました。
夏のお休み、お時間のあるときにぜひ・・・。

谷脇裕子


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2018年04月23日(月)

この春に思ったこと

 日本画家の夫は、昨年の春、芸大・美大を受験する学生たちの実技指導をする予備校から声を掛けられ、1年間、毎日のように受験生の指導に当たることとなった。
 夫には予備校講師の経験はあったものの、もう25年も前の話だ。こんなにブランクがあるのに、なぜ引き受けたのかと聞いてみたら、「もう一度、学生と生き合ってみたかったかったからかな・・・」と夫。

 春夏秋冬、夫も学生も力の限り頑張ったようだが、現実は厳しく、受け持ちの学生たちは11月の推薦入試、国公立前期と立て続けに不合格。夫が「この子は力がある。」と自信満々で作品の写真を見せてくれたていた子まで不合格。私まで落ち込んでしまった。厳しい世界だと思い知った。夫は追い詰められていた。いわんや、本人たちの受けていたプレッシャーはいかほどだったか。
 そんな状況の中で、夫は、「まだ後期試験がある。集中力を途切れさせてはいけない!大学の教授連中に磨いてきた力の全てを見せてやれ!」と鼓舞し続けたそうだ。強がりつつも辛そうだった。夫は、その言葉のとおり学生たちと生き合ってしまった(一人ひとりの学生を知ってしまった)からだろう。彼らを鼓舞する言葉とは裏腹に、受け入れがたい結果となることを誰よりも恐れていた。もちろん、皆の将来を預かっている自分が怯えてしまっては、学生たちを不安に陥れてしまうから、学生たちには「絶対合格!」「自分を信じろ」と言い続け、容赦なく迫ってくる時間との戦いの中で、指導の密度は増し、加速していった。
 そして迎えた国公立後期試験の合格発表。果たして、夫が受け持った学生たちは、見事全員第一志望の大学に合格した。最後の最後に結果を出したのだ。
 夫は、知らせを聞いた日、「涙はこぼれるものだと気づいた。自分の中にもこんな涙があると知った。」と言っていた。
見事に結果を出したのだから、引き続き受験指導を引き受けるものと思っていたが、あにはからんや、夫は3月末日をもって予備校を退職してしまった。本人的には、やりうる限りのことをやりきり、燃え尽きたようだった。いや、本当は、1年間味わったプレッシャーにもう一度立ち向かう自信がなかったのかもしれない。本当のところは私にはわからないが、続けることはできなかったようだ。

 最高の結果を収めたうえ、今、プレッシャーから解き放たれて、作家活動に戻った夫は、何だか少し寂しそうな、うかない様子にみえる。
 きっと、あのときの夫と学生たちの毎日のことを、充実していたというのだろう。充実感とは、それを得たいと狙ったから得られるものでも、「そのとき」に味わうことのできるものでもなく、その渦中は苦しく余裕のない、でも、その時にしか出会えない自分と出会えた瞬間、だからこそ得難く、過ぎてしまうとまた求めずにはいられない瞬間のことをいうのだと思う。


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2018年02月01日(木)

かくありたい、と思ったこと

 先日、高速道路上で車のタイヤがパンクするというアクシデントに見舞われた。
後輪あたりで、カタカタ、ガタガタ耳慣れない音がするなあ、と異変に気付いていたものの、とにかく高速を下りてから何とかしようと安易に考え、ゆっくり目ではあるが走行を続けた。ところが、あと数分で高速道路出口、というところでいよいよハンドルを取られてしまう状態に…。

うわ、ただ事じゃなかったんだ。どうしよう…。
スピードを緩めても大丈夫?とにかく端に寄せないと…。

なんとか追突されることもなく路肩に停車。
さて、どうしようか。そうだ、保険代理店の〇〇さんに相談しよう…。

「あのう、谷脇です。お忙しいところすみません。私、ロードサービス入ってましたっけ?」
「はい、大丈夫ですよ。どうされました?」
「高速道路でパンクしてしまって…。」
「大丈夫ですか?安全なところに待避できますか。これからロードサービスセンターに連絡を取ります。センターから連絡が入りますのでそのままお待ちください。」

あ~。ロードサービス入っていてよかった~
これで少し落ち着きを取り戻し、電話を待っていると、そこにパトロール中の道路管理センターの車が通りかかり私の車の後ろに付けて停車した。

「どうされましたか」
「タイヤがパンクして…」
「大変でしたね。危ないですからガードレールの後ろに入っていて下さい。△番は持っていますか?」
「ありません」
「では、ポールを立てておきますね。」
ふう~、ありがたい。何だろう、この安心感。

「修理業者には連絡されましたか?」
「保険会社からの連絡待ちです」
「今、安全な状態が確保できていますので行きますが、修理業者の名前と到着時刻がわかったらご連絡下さい。それから、修理が終わって出発される際にもご連絡を。故障車有りという表示を出していますので。」

そうこうしていると保険会社のロードサービスセンターから連絡があり、業者の手配ができたこと、50分ほどで到着することを伝えてもらう。
ようやく見通しが立ち、落ち着いてきた。

近くのサービスエリアに移動しコーヒーを飲みながら待つこと40分程度か。業者の方が到着。
作業に入る前、ポールを3個追加、発煙筒も炊いてくれた。
作業が気になって近づいて見ていると、危ないですから入っていて下さいと。手際よくパンクしたタイヤを外し、スペアタイヤを取り付けてくれた。
「スペアタイヤでは高速は走れません。速やかに下りて下さいね。お気を付けて」
あ~、これで走れる。よかった、大事に至らなくて。
おそるおそる本線に出て走行。高速を下りたらタイヤ交換してもらおう。

続いて修理工場へ。外されたタイヤは無残に裂け、ホイルに食い込みひどい状態だった。
「こんなになっちゃうんですね」
「釘か何かを踏んだのでしょう。そこから空気が入って熱を持ったためにこうなったんでしょうね」
「はあ。もっと早く車を停めなければいけなかったんですね」
食い込んだタイヤをホイルから外すのがまたまた大変。いろいろな道具を使って器用にタイヤを付け替えてくれた。


高度に複雑化し分業化した社会に生きる私たち。様々な役割分担の上に平穏な日常生活が成り立っていることに改めて気づかされる。
アクシデントに見舞われ不安に苛まれているとき、自分ではどうしようもないとき、それぞれの分野のプロに助けてもらい、支えられていると改めて知る。何ともありがたい。

私のところに訪ねて来られる相談者の方々も、自分では解決できない問題をかかえ不安でいっぱいのはずだ。
私は私の領域で、安心を取り戻してもらえるよう貢献することで与えられた役割をきちんと果たしていきたいと改めて実感した出来事だった。

弁護士 谷脇裕子


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2017年03月09日(木)

眼差しの向こう側へ

2月、ある土曜日昼過ぎの我が家でのできこと
ピンポーン ピンポーン(しつこい…)
夫  「はい。」
甥  「おじさん、ボクです。開けて。」
夫  「よう!いいけど裕子おばちゃんは仕事でいないぞ。」
甥  「うん。」
      ~中略~
甥  「おじさん、中学受験、全部終わったよ。」
夫  「大変だったな。ご苦労さん。」
甥  「やれやれだったよ。試験、難しかったぁ。」
      ~中略~
甥  「おじさん、中学生になってもおじさんちに寄らせてもらっていい?」
夫  「ばか。中学生って忙しいんだぞ。おじさんやおばさんなんか相手にするな!」
甥  「おじさん、お願い!寄らせてください。」
夫  「はいはい。」
ブーブーブー
甥  「おじさん、ケイタイ鳴ってるよ!」
夫  「お!」
甥の母「もしかして、息子、お邪魔してるんじゃない?」
夫  「はい、います。」
甥の母「すぐ帰るように言ってくれる?お昼ご飯まだなので。」
夫  「はい、すぐ帰らせます。」
甥  「母さん?帰れって?」
夫  「また黙って来たんだろう?母さん怒ってたぞ。」
甥  「帰ります。」

もう、春はそこまで来ています。


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2017年02月14日(火)

眼差しのなかに見えたものは…

 先日、甥(妹の息子)の中学受験が終わった。それにしても今どきの小学生は大変だ。私が小学生のころは、家で勉強はおろか宿題をした記憶さえないが、彼は小学4年生から3年間、学習塾に通って受験の準備をしてきたのだ。私たち夫婦は、妹家族の近所に住んでいることもあって、毎週末のように妹宅を訪れ、義弟(妹の夫、甥の父親)とお酒を酌み交わす間柄だ。ここ数年、私は、週末の夕方、妹宅を訪れる度に、塾帰りの甥と妹夫婦(甥の両親)の様子を、横目で見てきた。

 中学受験の良否については、親でもない私がとやかく言うことではないと思う。ただ、近くで見ていて感じたことは、それが並大抵のことではかったということだ。不安の中で揺れる本人の心と、彼の将来を思う親の心がぶつかり合っては前に進む、といった感じの繰り返しだったように見えた。

 塾に持たせるお弁当を作り、帰りが遅くなる日は迎えに行き、暗記やテストの復習に付き合い続けた妹(母親)、ロボットを作るエンジニアになりたいという甥の夢が叶うようにと熱心に進学先のリサーチをしていた義弟(父親)を間近で見てきた私は、つい、甥に「お父さん、お母さんを喜ばせてあげてね」と思ってしまう。自分が大人になり、歳を重ねた今になって、「親を喜ばせることなんてそうそうできないんだよ」「こんなチャンスはそうないんだから」なんて、なかなか親を喜ばせてこられなかった私の心まで揺れてしまった。もちろん、勉強は本人のためにするものだし、親は無事に受験を終えることができただけでも十分喜んでくれるのだけど…。

 志望校合格発表の日の昼、妹から合格の知らせがあり、その日の夜、お祝いを言いたくて甥の家を訪ねたとき、甥に「合格おめでとう!」と伝えるつもりが、「心配してたんだぞ!!」と思わず抱きしめてしまった。そのとき照れくさそうにする眼差しのなかには、もう、暖かい春の木漏れ日がキラキラと輝いて見えた。


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