谷脇 裕子 弁護士のブログエントリー一覧
弁護士 谷脇 裕子
2012年06月19日(火)
離婚裁判の不思議
最近、高嶋政伸さん、美元さんの離婚問題がメディアで騒がれていました。
法廷でのやりとりが詳細に紹介され、こんな状態になっているのに美元さんが「婚姻関係は修復可能」と発言していることなどが非難の対象とされていたりします。
しかし、そもそも、一方当事者が別れたいと考えれば直ちに離婚できるというのであれば、離婚裁判などという制度に存在の意味はありません。
離婚の裁判では、裁判官が、原告(離婚を求める側)の主張する「法律上の離婚原因」が存在するかどうかを判断することになります。ですから、原告が妻によるDVを離婚原因として主張していても、妻側が、実はDVを行っているのは夫であって自分ではないということを主張・立証し、これが認められた場合には、離婚は認められないことになります。妻側が、夫に非があることを主張しつつ、それでも離婚はしたくない、と主張することも十分あり得るわけです。互いに相手を非難しながら、離婚を争う、というのは、不自然に感じられるかもしれませんが、離婚の裁判とはそのようなものなのです。
結婚生活は、他の契約関係とは異なり、一方当事者が継続不可能と考えれば、解消するほかないようにも思えます。このように婚姻関係が破綻した場合、当事者の責任の有無に関係なく、婚姻関係の解消を認める考え方を破綻主義といいますが、日本の離婚裁判は、破綻のみでは離婚を認めない立場をとっています。
有名人の離婚報道は、スキャンダラスな内容ばかり取り上げられ、興味本位なコメントばかり多く見られますが、せっかくなので、婚姻・離婚制度の枠組み自体を考えてみるよい機会になれば…と思います。
弁護士 谷脇裕子
弁護士 谷脇 裕子
2012年03月23日(金)
友が偉く見える日
弁護士の谷脇裕子です。
卒業のシーズンですね。
先日、かつて机を並べて勉強し、幾度となく議論を戦わせた友人と久しぶりに会いました。
その友人は、今、これまで培ったスキルを武器に、難しい仕事に正面から立ち向かい、結果を出そうとしていました。
生き生きと「今」を語る友人が眩しく、また、随分頼もしく見えました。
その友人は、遠く離れていても、いつも意識せずにはいられない私にとってかけがえのない存在です。
離れている間に同じ分だけ経過した時間を、私はその友人のようにがんばってこれたのだろうか。私は、かつてと同じように、友人と「対等」に「今」を話せる自分でいるだろうか、と自問自答せずにはいられません。
尊敬できる友の存在は、本当に得難いものです。そんな友とは、時間が経過しても、また、同じ目線に立って、「今」を語れる存在でいたいと心から思います。そのために、今、目の前にある現実から目をそむけることなく、私は私に与えられた時間を精一杯がんばって行こうと改めて思いました。
弁護士 谷脇 裕子
2011年11月21日(月)
「本当に闘っていたもの」とは?
このブログの原稿が掲載されるころには、結果は出ているでしょう。今年のプロ野球中日対ソフトバンクの日本シリーズ。
私の夫が中日ファンだからというわけではありませんが、今年は中日のことが気になります。いや、というより、本当は、落合博満監督のことが気になります。落合監督は日本一になって中日を去るのか?日本一にならずに去るのか?
8年間の監督生活で4度のリーグ優勝、そして1度もBクラスはない。勝ち続けた男の去り際がどうしても気になるのです。
落合監督が中日を去る理由については、いろいろ言われていますが、本当のところは私にはわかりません。ただ、監督がいつも言っていたのは、「勝つことが最大のファンサービスだ。」ということです。勝つことに徹し、なお結果も出してきたのに、ナゴヤドームの観客動員数は減り続けたといいます。なぜそうなるのか?彼が勝つために選択してきた一つ一つのことが中日ファンの気持ちとは重ならなかったのかもしれません。
落合監督が8年間本当に闘っていたものは、自分の価値観を、また自分自身の存在さえ許そうとはしない「時代」だったのではないでしょうか。
弁護士 谷脇裕子
弁護士 谷脇 裕子
2011年08月01日(月)
電子書籍は手に取れる?
電子書籍の広まりによって、出版社や書店は危機感を持っているかもしれませんが、逆に「本とは?」「書店とは?」と問い直す企画が、テレビ・雑誌等で盛んに行われ、そのことによって、私には改めて本の存在感が増したように感じられました。その存在を意識することすらないほど、本は、今まで、あまりにも身近すぎたのかもしれません。色々な生き方があることを、また、あっていいことを教えてくれた数々の本たち…。その、「これから」について、私は注目していきたいと思います。
でも、私の実感としては、たまに古書店などで、ずっと探していた本を見つけると、その背表紙に「君は、こんな顔をしていたんだ」と問いかけ、そしてその本を手に取って「君はこんなヤツだったんだ」とその姿、形、重さを感じます。
私にとって、本とは、単に情報ではなく、実体の伴った「個性」のように思われます。
弁護士 谷脇裕子
弁護士 谷脇 裕子
2011年04月06日(水)
雨音はJazz Pianoの調べ
弁護士の谷脇です。
私がジャズを聴くようになったのは、今から10年くらい前だったと思います。当時、転職や引っ越しが重なりバタバタしたあと、インストゥルメンタルが聴きたいと思ったときに、ふと昔友人に教えてもらったジャズアルバムのタイトルが思い出され、何となく聴き始めたのです。
今日は、今まで聴いてきたジャズアルバムの中で、特に私が気に入っているもの4枚(私のベスト4)を紹介させていただきたいと思います。なお、ジャズの好きな方なら誰でも選びそうな極めてスタンダードな選曲になっていることは、私の保守的な性格によるところが大なので、どうかご容赦を。
第1位は、何といっても、マイルス・デイヴィスの「カインド・オブ・ブルー」です。このアルバムのすごさは耳にはしていましたが、実際、聴いてみて驚き感動しました。このアルバム独自の“浮遊感”は、神秘的な感覚に誘ってくれます。
第2位は、キャノンボール・アダレイの「サムシン・エルス」です。これは私が初めて購入したジャズアルバムなのですが、特に2曲目のラブ・フォー・セールがすばらしく、曲の終わり際がかっこいいです。
第3位は、スタン・ゲッツの「ゲッツ/ジルベルト」です。アストラット・ジルベルトの物憂げな歌声がとてもおしゃれで耳に優しいです。
第4位は、ビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビイ」です。この静かなアルバムを雨降りの午後などにかけると、心がゆっくりと透明になっていきます。